横 浜 植 物 会
花の百名山「入笠山」でスズラン・アツモリソウを観察
|
入笠湿原 新型コロナ感染症が、5類になり1年。2024年度の横浜植物会の6月例会は、久し振りのバスを使った遠出の例会として、入笠湿原に咲くスズランの大群落をターゲットとして、その他、普段神奈川県内では滅多に見ることのできない山地の湿原性の植物の数々を観察することを目標にコース設定を行った。
早朝7時、初夏の好天にも恵まれて35名が横浜駅に集合し、高速バスで入笠山(富士見パノラマリゾート)へ出発した。入笠山は、長野県中西部・赤石山脈の北端に位置する山で、標高1,700m付近に広がる入笠湿原では、約150種類の山野草をよく整備された木道の上から観察することができる。
標高1,000mの山麓から高低差730mをゴンドラに乗って入笠山の斜面を上がると眼下にはカラマツや山地性・亜高山性のモミ類、カエデ類で構成された森林を眺めることができた。ハイキングコースに沿って進んで行くとカマナシホテイアツモリソウ、クマガイソウ、キバナノアツモリソウ、レンゲツツジ、エンレイソウ、ズダヤクシュ、ハンゴンソウ、ミヤマハタザオ、コメガヤ、シラネワラビが次々と姿を現した。常緑の針葉樹林を中心に構成される森林下では、ヤグルマソウ、エゾヨツバムグラ、オシダ、ヤマイヌワラビ、ヒカゲノカズラを観察した。湿原一帯がシカ柵で囲まれた入笠湿原の保護エリアへ入るとまず印象的だったのは、満開のズミであり、エゾノコリンゴ゙、イボタヒョウタンボク、アオナシを観察し、勝山会長の解説に耳を傾けた。続いて足元に目をやるとザゼンソウ、大きく成長して巨大なほうれん草のような姿に変わり果てたミズバショウ、満開のクリンソウ、鮮やかな黄色が印象的なウマノアシガタ、アヤメ、カラマツソウ、オタルスゲ、ヘビノネゴザ、ヤマドリゼンマイ、そして最後にはスズランの腰を抜かすほどの大群落を観察し、初夏の風にのるスズランの芳香を満喫することができた。
高速の渋滞に巻き込まれ、観察時間が短くなってしまった点が残念だったが、天候と季節には非常に恵まれて、数々の山野草を観察することができた。総じて密度の濃い山行となった。(米岡 記)
■当日観察した植物 ※詳細は年報に記載 |
|