活動報告

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日光白根山-菅沼-戦場ヶ原 植物観察会
2018.7.6-7.7


1日目:日光白根山
 横浜駅西口を7時20分頃出発。11時頃に標高1,400mの丸沼高原スキー場に着き、直ちに全長2,500mの日光白根山ロープウェイに乗り、オオシラビソ、カラマツ、ダケカンバ、ナナカマドなどが混交する樹相を上から観察するという珍しい体験を楽しみながら、標高2,000mの山頂駅に着いた。山頂駅に接してさまざまな高山植物がみられる広いロックガーデンがあり、その一角のレストランで昼食をとった。
 12時過ぎ雨が降ったり降らなかったりの中、観察に出発。まずは、オオシラビソとシラビソの葉の付き方の違い、これらのモミ属とトウヒを樹皮の違いでの見分け方。白い小さな花を咲かせているゴゼンタチバナ。草丈10cmほどのヒメスゲ。森の斜面に広がるシラネアオイは残念ながら花期を過ぎていた。この地域はまさに亜高山帯針葉樹林帯で、オオシラビソ(アオモリトドマツ)、シラビソ、トウヒ、カラマツ、クロベ(ネズコ)、アスナロ、ダケカンバなどの森林で、薄暗いところにはカニコウモリが群生していた。
 ハクサンチドリなどの高山植物が見られる七色平まで行く予定だったが雨が強くなり、引き返すことにした。帰りは、途中から往路とは別ルートを観察することにした。往きと違いは少ないが、山道から7〜8m先に胸高直径が60cmほどのカラマツの大木がそびえ、その前に花序を伸ばしたヤグルマソウが並びその横にイワカガミが一列にピンクの花を咲かせていることに気が付き、しばらくその風景を楽しんだ。出口付近では、往きには気付かなかった、エゾノヨツバムグラの群生、花は終わりかけであったがイチヨウラの直径10cmほどの密生地、花がこれからのエゾスズラン、一株だが赤い花が美しいクリンソウを観察した。
2日目:菅沼
 朝8時に貸切バスでホテル前から出発。20分ほどで菅沼キャンプ場に着き、早速観察を開始。駐車場と国道120号の間の広い草地に白い花を咲かせた草丈50〜60cmのハルカラマツが群生していた。シロバナノヘビイチゴや果実期に入ったユモトマムシグサも観察した。湖畔に向かう途中のキャンプ場内でシウリザクラ、カスミザクラ、ズミ、オオヤマフスマなどを観察。岸辺に近い湖の中に小さめの谷地坊主が沢山観察された。オオアゼスゲであった。この他ハリガネスゲ、ヤチカワズスゲ、ホソバノヨツバムグラ、イトキンポウゲ、サンリンソウ等が観察出来た。
2日目:戦場ヶ原
 9時42分に貸切バスで出発。10時前には日光湯元ビジターセンターに到着し、展示物の見学と周辺の植物についての情報を収集。 
 バスで光徳に移動し、10時40分から観察開始。まずはセンター職員に聞いた場所でホザキシモツケの大きな群生地を観察。
 森林内には、シラカンバ、ダケカンバ、ミズナラ、ズミ、ハルニレ、ハリギリ、コシアブラ等の中高木、赤い果実を沢山つけたミヤマウグイスカグラをはじめ、サワフタギ、ケヤマウコギ、ミヤマイボタ、オニツルウメモドキ等の低木、林床にはサワギク、ヤマハタザオ、ズダヤクシュ、ハナチダケサシ、ヤマキツネノボタン等が花を咲かせていた。
 湿原に入ると、谷地坊主を作っているオオアゼスゲをはじめ、オニナルコスゲ、ヤチカワズスゲ、ゴウソ等のスゲ類が目立った。
大型草本が少ないところにはツルコケモモが大きな群落をつくり、またニッコウシダ、オニゼンマイ、エゾシロネ、クロミノウグイスカグラ(ハスカップ)等を観察した。そのうち、湯ノ湖を源流とした湯川を渡った。湯川は湿原をゆったりと流れ、フライフィッシングの穴場だと思った。間もなく泉門池(いずみやど)に着き昼食を急いでとり出発。歩道はほぼ湯川沿いの湿原に確りと造られた木道で自然研究路と名付けられている。湯川にはバイカモが咲き、湿原にはイブキトラノオ、ノハナショウブ、ハクサンフウロ、ミズチドリ、ドクゼリ、ニッコウアザミ等がお花畑を作っており、カリガネソウ、シオガマギク等が開花を待っていた。
 14時40分に赤沼に着き、15時にバスで帰路につき17時50分、横浜駅西口に到着解散した。  (篠原康之記)
(観察種の詳細な目録は、紀行文とともに2019年5月発行予定の「横浜植物会 年報48号」に掲載いたします。)
 参加者31名 観察指導:佐々木シゲ子 担当:○篠原康之、遠藤康彦、小暮孝雄

エゾノヨツバムグラ(アカネ科)
クリンソウ(サクラソウ科)
ハルカラマツ(キンポウゲ科)
オオアゼスゲ(カヤツリグサ科)
ホザキシモツケ(バラ科)

ツルコケモモ(ツツジ科)

ミヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)
ノハナショウブ・イブキトラノオ・
ハクサンフウロ等

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