講師が急遽変更により、高橋会長先生の講演と田中京子運営委員および青木清勝運営委員により屋外観察会がこども植物園内で行われました。
「桜の原種と変異の範囲」について中村僉雄運営委員の原稿を高橋会長先生が代理で説明された。
◆ 桜はバラ科に属し下位分類の亜科はシモツケ亜科・バラ亜科・ナシ亜科・サクラ亜科がある。サクラ亜科のサクラ属に属する。
◆ 桜の語源2種を紹介する。
@「サ」:早苗などと同様に穀霊(田の神)を表し、「クラ」:神の座(くら)でサクラはイネの~の依代(よりしろ)。
A古事記にある「大山津見~」の娘の「木花之佐久夜毘売夜」の木花は桜のことで、サクラは佐久夜の転じた言葉である。大阪の花博で日本館「咲くやこの花館」はこれが出典であった。
◆ 桜への憧憬:・武士の台頭と共に【花は桜木】【人は武士的な潔さ】が強調された。・武士の人生観を象徴した桜への憧憬が昭和20年ごろまで続いた。
◆ 桜の観賞:中世まで天皇の【桜花の宴】・貴族の間で行われた【桜狩り】と称する花見の宴・豊臣秀吉;吉野山での花見の会、醍醐寺での大規模な観桜会。
◆ 日本の桜原種:
ヤマザクラ群
@ヤマザクラ系=山桜、
Aオオヤマザクラ系=大山桜・蝦夷山桜・紅山桜、
Bカスミザクラ系=霞桜(毛山桜)、
Cオオシマザクラ系=大島桜。
・マメザクラ群
Dマメザクラ系=豆桜(富士桜)、
Eキンキマメザクラ系=近畿豆桜(山彼岸)
Fブコウマメザクラ系=武甲豆桜、
Gタカネザクラ系=高嶺桜(嶺桜)
・ミヤマザクラ群
Hミヤマザクラ系=深山桜(白桜)
・チョウジザクラ群
Iチョウジザクラ系=丁子桜、
Jオクチョウジザクラ系=奥丁子桜
・エドヒガン群
Kエドヒガン系=江戸彼岸
(彼岸桜・東彼岸・婆彼岸・立彼岸)
・ヒマラヤザクラ群(外国)ヒマラヤザクラ系
・シナミザクラ群(外国)シナミザクラ系=支那実桜(唐桜)
・セイヨウミザクラ群(外国)セイヨウミザクラ系=西洋実桜(甘果桜桃)
(渡辺重彦・記)